【レポート】Alteryx Inspire 2023:Day1 Keynote 洞察力とAIを駆使して迅速な意思決定を実現 #alteryx23
こんにちは、アライアンス統括部の清水です。
現地時間2023年05月22日(月)〜2023年05月25日(木)に米国ラスベガスで開催されているAlteryxの年次カンファレンスイベント「Inspire 2023」。今回クラスメソッドからは計6人のメンバーが現地参戦しています。
当エントリでは、5月24日(水)10:30 AM - 12:00 PM PDT【太平洋時間】に行われたKeynote『Leveraging Insights and AI to Make Decisions Faster』についてレポートします。
Leveraging Insights and AI to Make Decisions Faster
Keynoteの概要は以下の通りです。
概要
製品エンジニアリングのリーダーであるSuresh Vittal氏、Jay Henderson氏、Adam Wilson氏と共に、個々の洞察力を高め、企業の効率を向上させるべく、最新のエンタープライズ向け技術と革新を皆様にご紹介します。クラウドでのスケーリングから、オンプレミスの生産性を最適化するまで、Alteryx Analytics製品およびプラットフォームは、全てのユーザーレベルに対してノーコード/ローコードソリューションを提供します。本講演では2023年のAlteryx製品戦略を解説し、どのように絶え間ない革新のアジェンダとガバナンスへの取り組みが、急増するインサイト需要に対応するため役立つかを示します。
登壇者
- Suresh Vittal氏【Chief Product Officer, Alteryx】
- Nicole Johnson氏【Manager, Product Management, Alteryx】
- Lindsey Zibell氏【Director, Product Management, Alteryx】
- Jay Henderson氏【SVP, Products, Alteryx】
- Adam Wilson氏【SVP and General Manager of Alteryx Designer Cloud Platform, Alteryx】
- Krishnan Parasuraman氏【Vice President and Head of Global Field CTO, Snowflake】
1. GENERATIVE AI (Suresh Vittal)
生成AIを活用する利点
最初のスピーカーである、スレシュ・ヴィタル氏が登場。生成AIについて語ります。
スレシュ・ヴィタル氏は、Alteryxの主要な分析とデータサイエンスのイノベーションの戦略的ビジョンを担当する最高製品責任者(CPO)です。スレシュ氏は、製品管理、エンジニアリング、開発組織を指導しています。スレシュ氏は、異なる分野間の協力、技術的専門知識の多様性、イノベーションの文化を育むことを推進しています。彼はAdobe、Neolane(Adobeに買収されました)、Forrester Research、NetGenesisでリーダーシップのポジションを務めた経験があります。スレシュ氏は、イギリスのグリニッジカレッジ、ハル大学で経営学修士号を取得し、さらにベントレー大学でコンピュータ情報システムの修士号を取得しています。
生成AIを活用する利点として、以下の3つを掲げました。
- AIの利用により日常的なタスクが向上し、クリエイティブな発想や創造力が向上する
- 人と人とのコラボレーションの促進
- 数百万ものワークフローに対して、機械学習を行う事が可能
AiDIN
続けて、Alteryx社が提供する「AiDIN」に関して以下のようにコメントがありました。
独自のデータセットで言語モデルを訓練することにより、スムーズな分析体験を提供します。企業のインフラ内でこれらのモデルを訓練し、デプロイすることが可能です。データベースは顧客の管理下にあり、生成AIはそのデータにアクセスします、またパーソナライズすることも可能です。これにより、皆様の最適な利用を支援します。
まとめ
2. Snowflake x Alteryx (Krishnan Parasuraman)
SnowflakeとAlteryxとの融合
クリシュナン・パラスラマン氏が登場します。SnowflakeとAlteryxとの融合から生まれる可能性について語りたいと述べています。
クリシュナン・パラスラマン氏は、SnowflakeのグローバルフィールドCTO組織の副社長兼責任者です。彼はSnowflakeの営業リーダーシップチームの一員であり、顧客アドバイザリー、業界ソリューション、パートナーエンジニアリングの機能を担当しています。クリシュナン氏は、多くの戦略的なクライアントのデジタルトランスフォーメーションとクラウドモダナイゼーションの取り組みにおいて、エグゼクティブスポンサーとしても活動しています。彼は定期的に業界イベントで講演し、専門誌に執筆しており、書籍『ビッグデータの力を引き出す』の著者でもあります。
事例紹介
JuniperNetworksは、売上数、取り組みの状況、マーケットイニシアチブの進行状況などを把握するため、10以上のデータソースからデータを引き出し、ダッシュボードを提供しようと考えました。そのためSnowflakeは全体的なデータのアクセスを提供し、Alteryxはデータ分析とデータパイプラインの管理を支援しました。
それぞれのソフトウェアの統合は製品とエンジニアリングのレベルで行われ、各エンジニアリングチームが早期リリースできるようになりました。
ユーザーは様々な種類のデータをこのプラットフォームにシームレスに取り込むことが可能で、各ステップでSnowflakeとの連続的なインタラクションが行われます。エンドユーザーは、この一体化されたスタックを通じて一貫した体験を得ることができます。また、AlteryxはSnowflakeの機能をビルディングブロックとして抽象化し、それをユーザーのワークフローで利用することが可能と述べました。
加えてSnowflakeでは、マーケットプレイスを通じて利用できる大規模なライブラリを保持しています。データサイエンティストであれば、予測の精度を向上させるためのシグナルにアクセスが可能となります。
まとめ
"Snowflake x Alteryx" を活用することにより、以前は想像もできなかった問題を解決するためのインスピレーションを提供することを約束します、と締めくくりました。
3. Alteryx製品戦略 (Jay Henderson/Nicole Johnson)
3つのKeyPriority
続いてジェイ・ヘンダーソン氏が登場します。3つの優先順位に基づいて製品戦略を進めていると述べ、これらは最新リリースの2023.1に統合されています。また製品のDEMOは、ニコール・ジョンソン氏が担当しました。
ジェイ・ヘンダーソン氏はAlteryxのSVP、デザイナー&サーバーの製品管理担当として、製品、デザイン、戦略を指導しています。彼のチームはクラウドの加速、ビッグデータの習熟度、戦略的な優位性としてのAI、およびペルソナの拡大に焦点を当てています。彼はAcoustic、IBM、Unica、SPSS、NetGenesis、ClearForestなどのアナリティクス企業で20年以上の製品経験を持っています。Alteryxの製品体験においては、顧客志向とイノベーションを中心に据えています。MITで経営学の学士号を取得しています。
ニコール・ジョンソン氏は、Alteryxのデザイナーデスクトップの主力製品のプロダクトマネージャーであり、顧客の夢を実現することに情熱を持って取り組んでいます。以前は、主要な通信会社でビジネスソリューションマネージャーとして勤務し、Alteryx Designer&Serverを使用して財務部門のビジネスプロセスを自動化するための開発チームを指導・支援していました。彼女はAlteryx Expertの認定を取得し、Alteryx ACEの一員であり、また2018年には顧客としてAlteryx Grand Prixで優勝した経験もあります。キャリアの初期には、住宅および商業建設会社でプロジェクト会計担当およびビジネスアナリストとして活動していました。彼女はワシントン大学(シアトル)でファイナンスと会計の学士号を取得しています。
1) 組織管理
認証情報の保管をWFから一元化された場所に移行し、Alteryx Designer・Server全体で使用できるようになりました。
- 新ライセンスポータル:大規模なデプロイメントを効率的かつ効果的に利用できるように。ユーザーのオン/オフボーディング、利用可能な製品バージョンの制御、部署ごとの管理など。
- エンタープライズユーティリティ:WFを開発からテスト、本番環境へと簡単に移動できるように。データサービス、データ接続マネージャ(DCM)も導入。
<DEMO>
ライセンス管理:新ライセンスポータルやFlexera APIを通じて、ライセンス管理を自動化する方法を説明
WFの移行: WFを別の環境に移行するツールの説明
2) 改善要望
- セレクトツールに新しい検索ボックスを追加、必要な表現を素早く表示できるようにするための「展開/折りたたみボタン」を追加
- WFをより速く実行できるように「マルチキック」、「マルチハンガーキャッシング」を追加し、非構造化データからのインサイト抽出能力を大幅に改善
- コントロールコンテナを導入、WF内のツールの実行順序を管理できるように
<DEMO>
セレクトツール:ユーザーが求めているフィールドを素早く見つけられる「新しい検索ボックス」を紹介
フォーミュラツール: 式の展開や折りたたみがワンクリックで可能に
コントロールコンテナ:DEMOでは同じExcelファイル内の異なるタブにデータを書き込むことができ、同じ1つのWF内でロジックを順序付けれると説明
ダークモードの実装:これまでDesignerを利用していて、画面が明るすぎたという方向けに
3) クラウド接続
- SnowflakeやDatabricksなどのクラウドDB、SalesforceやWorkdayなどのクラウドアプリケーションへの接続を提供
- 機械学習やオートインサイトなど、クラウド製品との相互作用のための専用ツールを提供
- 開発中の機能として、Alteryx Designer DesktopのWFをクラウドで保存、スケジュール、実行できるように
<DEMO>
データコネクタ: 新しいERPデータや既存のSQLデータとの統合、さまざまなデータソースへの接続などに使用できることを説明
データ接続マネージャ(DCM): ユーザーが安全にデータ接続と資格情報を設定できることを説明
クラウドデータ接続: SnowflakeやDatabricksなどクラウドデータソースへの接続の容易さについて
外部呼び出しサポート: キャッシュサポート、CyberArk、AWSなどのデータソースへの接続を容易に
4. Alteryx Analytics Cloud (Adam Wilson/Lindsey Zibell)
新機能と改善箇所
続いてアダム・ウィルソン氏の登場です、Alteryx Analytics Cloudの新機能と改善箇所について発表がありました。製品DEMOは、リンジー・ジベル氏が担当しました。
アダム・ウィルソン氏はAlteryx Designer Cloud PlatformのSVP兼ゼネラルマネージャーです。かつてはTrifactaのCEOであり、データ統合と分析に焦点を当てたリーダーシップの経験を20年以上持っています。以前はInformaticaでリーダーシップのポジションを務め、アナリティクス企業であるZimbaを共同設立しました。彼はKellogg School of ManagementでMBAを取得し、ノースウェスタン大学で工学の学位を取得しています。
リンジー・ジベル氏は、Alteryxプラットフォームチームのプロダクトマネージャーのディレクターであり、過去5年間にわたり製品ポートフォリオを使用し、愛し、貢献してきました。Alteryx入社前はウォルト・ディズニー・カンパニーを含む機関で、ファイナンス、アナリティクス、ビジネスインテリジェンスのプロジェクトに従事していました。彼女は企業ファイナンスを強調した学士号を保持し、組織リーダーシップを専門とするMBAを取得しています。
1) データハンドリング
Analytics Cloudの、データハンドリングに関する選択肢が増えました。
これはプライベートデータハンドリングと呼ばれ、データがどこで保存および処理されるかについての完全な制御を提供します。
また顧客自身のデータを遵守するために、データを異なる地域で実行可能な点や、お気に入りのクラウドエコシステム全体で動作する機能を提供します。
プラットフォームは、SOC2とISO27001の認証を受けており、その信頼性を保証しています。
2) Designer Cloud
AIとMLを活用してデータから学習する機能の強化。これによりデータクレンジング、加工、または変換のための提案が可能に。
<DEMO>
このDEMOでは実際にデータを読み込んで出来た際に、「Suggest機能」にてデータクレンジングやソートを行うと良い提案を示しています。
3) Auto Insights
新機能の「Magic Documents」は、AIによって駆動され、自動でメール、プレゼンテーション、レポートを生成し、他者と共有することが可能に。
<DEMO>
これはMagic Documentを利用して、ひと月分の顧客からクレームされたデータを分析した内容を、AIが自動でメールに文書作成している様子です。
メールの他、プレゼンテーションやメッセージ形式にも、対応しています。
4) 機械学習
パターン、相関関係、予測が可能なツール。時間系列分析の追加により、時系列データに基づいた予測を生成が可能に。
<DEMO>
Location Intelligenceにて、集計されたデータセットから予測モデリングを行っています。未来のビジネス戦略を立てるための予測分析が可能に。
5) Location Intelligence
将来の拠点計画、人口統計データの充実、お客様へのオファーを地域ごとに。これまで地理データの活用にはGISアナリストが必要でしたが、一般の方も地理データを扱えるようになりました。
<DEMO>
地理情報を自動的に集計する機能を提供し、大きな地域(例えば州)ではなく、市場ごとに意思決定を行うため新しい集計が可能だと説明しています。これはカンザス州の特定の地域の街で顧客からあがったクレームを、地図上から検索して表示しています。
特定の地域に対する洞察を深めることが可能となり、集計された地理情報はその後の予測モデリングや機械学習に活用され、新しい形でデータセットとして保存・再利用できるとのこと。
6) Plans
すべてのアプリケーションを通じて、タスクをまとめ、自動化するための単一のパネルを提供。これにより、機械学習、レポート作成、Auto insightを一つのフレームワーク内で統合することが可能となります。
<DEMO>
これはWFを実行し、その結果から予測モデリングをし、最後にSlackへメッセージを送信しているタスクの一連の流れです。複数のツールを組み合わせて統合し、自動化できるのは非常に便利だと感じました。
5. Cloud Execution for Desktop (Suresh Vittal/Nicole Johnson)
クラウド連携へ
最後に再びスレシュ・ヴィタル氏と、製品DEMOではニコール・ジョンソン氏が登場。早ければ今年の夏には、Designer Desktopで作成、管理したWFを、クラウド上で実行する機能をリリースする予定だと発表しました。これにより、デスクトップでの開発を続けながら、クラウドで公開して実行することが可能となります。
<DEMO>
新たな接続マネージャーを通じて、Designer Desktopとクラウド環境の間の安全な接続を作成することが可能に。これにより、ユーザーは既存のツールやプロセスを保持しつつ、クラウド環境と連携することができます。
クラウドを介した新たな機能により、ユーザーはクラウド上でWFをスケジュールし、実行することが可能になります。これは日次または週次のスケジュールに基づいて自動的に行うことができます。
クラウドとDesigner Desktopの間のシームレスな連携が実現することにより、データ分析とプロセスの強化を通じて、より良いユーザーエクスペリエンスのための新たな機能が利用できるようになります。
終わりに
この度初めてKeynoteのブログを執筆させていただいたのですが、90分の講演時間の間に、次から次へと新機能や製品の発表が盛り沢山で、どのようにブログにまとめればいいか非常に悩みながら投稿しました。このように会場の他の皆さんは、とてもリラックスした様子で、良い感じの機能が発表されるたびに「Wow,Nice!」と歓声があがったりしていて、アメリカらしいなと感じました。
今回のKeynoteで発表された新機能や製品に関しては、今後『使ってみた、検証してみた』ブログにしていけたらと思っております。どなたかのお役に立てば幸いです。